佐倉香梨奈
有名怪盗の末裔、成績優秀運動神経抜群、そしてお宝に目がない。
但しやきもち焼き屋さん
このお話の主人公
香梨奈 ロック・ストック・トゥースモーキングバレルズっ!!
美智子 「ど、どうしたの香梨奈、突然……?」
香梨奈 「ま、なんて云うの?…芸術の秋じゃない?」
美智子 「げいじゅつ…まあ、芸術の秋…ではあるけれど、それと今の叫び声はなにか関係があるの……?」
孝 史 「作者が電波を飛ばしてきたんだ、きっと。」
美智子 「で、電波…それって問題ありませんか?」
孝 史 「平気だろ、別に……しかし、その映画は作者の好みじゃないぞ……面白いとは云ってたけどな。」
美智子 「あ、映画のタイトルなんだ……でも、どうして孝史くんがそんなことを知ってるんですか?」
孝 史 「いや、俺も見たからな…その映画。」
美智子 「って云うか…作者って誰?」
リディア 「……それは、公然の秘密というヤツだな。」
美智子 「わっ、リディアさん!……そ、そうなんですか?」
香梨奈 「そうらしいね。」
美智子 「いきなりワケが解らないよ……。」
香梨奈 「あ、ちなみに芸術って云うのは英語で『Art』。泥棒の技術も『Art of theft』。だから秋は泥棒の季節なのよ!」
美智子 「ああっ、まとめると見せかけて全くのデタラメです……。」
そんなわけで季節は秋。世は泥棒の季節真っ盛りなのです……。
美智子 「ああ…デタラメなナレーションまで入ってる……。」


女神の看板番外編U
−聖なるフィッシャーキングがウォーキング・ツアーの伝説−


香梨奈 「ちょっと!サブタイトルの方が長いじゃないっ!」
まあ、そう云う与太話は置いておきまして、ここは宝盛学園。学舎にして迷宮…それはそれは奇々怪々なパブリックスペースなのです……。
香梨奈 「ちょぉっとぉ……本編の出来が疑われちゃうような、意味不明なナレーションはやめた方がいいって……。」
そうは云っても番外編ですから、羽目も外したいしデタラメだってしたいじゃないですか……。
香梨奈 「だいたい、本編にはナレーションなんてなかったはずだよ……。」
宮内美智子
魔法使い一家の女の娘、現在修行中の身

む、そんなことをおっしゃるならナレーションやめます。後は勝手にやって下さい。
香梨奈 「えっ…?!」
ナレーションは一切口答えをやめてしまった……場に沈黙が満ちる…って、あれ?
「わ、わたしの考えてることが勝手に文章に……」
これって、ひょっとして私の一人称になっちゃったの?!
「こ、困ったなあ……頭の中のぞかれてるみたいだよ……。」
「香梨奈…どうしたの?廊下の真ん中でブツブツ独り言なんて……。」
「えっ?!わたし……そんなことしてた?!」
みっちゃん…宮内美智子…に云われて、わたしは初めて廊下の真ん中に突っ立ってブツブツ云っていることを認識した。
「どうしよう……孝史くんの病気…うつっちゃったかなぁ……。」
孝史くん…っていうのは、その…お友達。迷宮を一緒に探索している仲間の一人だ。
「香梨奈、病気がうつるようなこと、何か孝史くんとしたの?」
「わわっ!なんてこと云うのよぅっ!」
みっちゃんに珍しくえっちぃツッコミを入れられてしまった……どっちかって云うと、そう云う意味ではみっちゃんの方が孝史くんの病気がうつっていると思う……。ちなみに彼女も冒険仲間の一人。
「みっちゃんこそ、孝史くんの病気うつってるんじゃない?」
「あれ?…あはは、そうかもね。」
みっちゃんは否定しなかった。…こう云うところは、私と違って素直だなぁって思う。
「それで……何か、私に用なの?」
みっちゃんは『ニコニコしたままちょっと困った顔をする』って云う、難易度の高そうな表情をすると、恥ずかしそうに私を見た。
「その……香梨奈に折り入ってお願いがあるんだけど……」
それは、ちょっとした事件の始まりだった……。

−*−

「と、云うわけなの……。」
みっちゃんは話し終わると、ゆっくりとクリームソーダの入ったグラスに手を伸ばした。
「はは、なんとまあ……」
ここ学食にも、夕方の陽の光が斜めに届いて、私のストロベリーソーダに不思議な色彩に与えていた……。みっちゃんの話が長そうだったので、ゆっくりと座って話を聞くことにしたんだけど……。
「随分とへんてこりんな話だね。」
私は素直な感想をみっちゃんに返す。みっちゃんは、と云えば、最近よく浮かべる『困ったときのあはは笑い』を顔に浮かべている。
「うん、魔法使いの家なんて…妙な事件には事欠かないからね…。」
そう、みっちゃんの家は魔道士の家系で、日本唯一の魔道の宗家なのよね……私も一度遊びに行ったことがあるけれど、お弟子さんとかが一杯いて、まるで少○寺三十六房みたいだったもの。
「で、例に漏れず…変な事件で困っちゃってるの……。」
みっちゃんの話を要約すると、こんな感じになる……。

 みっちゃんの家…宮内家は国内唯一の魔道の宗家…とはいっても、それはあくまで西洋魔道に限っただけの話。当然国内には、修験道や陰陽道…いろいろな東洋魔道の宗家というものが存在しちゃったりなんかするのよね。
 先日、陰陽道の宗家の一つ、『賀茂家』から表敬の使者がみっちゃんの家にやって来た。そこまでは良かったんだけど……そこで一つの事件が起こったの。
 みっちゃんの家には、秘宝として『聖杯』と呼ばれる杯が納められているの。私も写真を見せてもらったけど、なんて云うのかな…優勝カップの台座がないようなヤツなの。…で、それを見た途端にお使者の人が、
「こ、この品には悪霊が取り憑いておりますぞ、きえ〜〜っ!」
ってなことを云って帰っていったらしいのね。あ、云っておくけど『きえ〜っ!』って云うのはみっちゃんが云ってたコトをそのまま云っただけだからね。
 ああ、話が逸れたけど、その使者が来てから三日後、『聖杯』は宮内家の安置室から忽然と姿を消してしまったそうなの……。
 不審に思った杏子さん…えっと、みっちゃんのママは、失せ物のおまじないを使ってみると、なんと賀茂家の修験場に祀ってあったのを水晶玉で見つけちゃったそうなの。
 ここでいつもなら、勢い込んで殴り込みに行ったであろう杏子さんも、今回はそう云うわけには行かなかったらしい。

「でも、なんで杏子さん、殴り込みに行かなかったの?」
みっちゃんのママの性格からすると……絶対に殴り込みとかに行きそうなんだけど……。
「あはは、まあ、そうなんだけど。お母さんに云わせると、駆け引きみたいなものらしいよ?」
駆け引き……ねえ。
「魔法で取り返すのはそれほど難しくないんだけど…それをすると魔法合戦みたいになっちゃってあまり良くないらしいの。」
そっか、相手に自分たちの手の内は見せたくない、っていうワケか……。
「なるほどね……で、私がそれを盗んでくればいいんだね?」
「うん、どうしようかっていろいろ考えたんだけど……魔法で取り返したりすると、また奪ったり奪られたりっていう騒ぎになりそうだし……。」
「ふふん……そういうことなら任せておいて!これでも由緒正しき盗賊の家柄なんだから!」
そんなわけで、魔法を使わない『聖杯』奪回大作戦は幕を落としたのです……。


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