城下町 むかし、むかし。
ある所にアルメダと言う国がありました。
賢く、穏やかな老いた王様が治めるこの国には、二人の王子がおりました。
レオニス王子は戦争大好き暴れん坊。
かたやアル王子は本や詩の好きな穏やかさん。

二人は兄弟。だけど王位を継ぐのは弟アル。
身分の高い王妃から生まれたアル王太子。

この決定にしぶしぶ従っていたレオニスですが……
ここにしゃしゃり出てきたのが悪大臣。
『アル王子さえいなければ、王位は貴方のもの。私めに策がございます……』

大臣がもちかけたのは、狩の最中、事故に見せかけてアル王子を暗殺する計画でした。
あっさり乗り気になったレオニス。
しかし、ここで問題が一つありまして、基本的にインドア派のアル王子は滅多に狩なんぞにはお出にならなかったのです。

そこでレオニスは一計を案じ、妻のユイシスにアルを誘わせたのです。

大好きなお義姉ちゃんにお願いされて、アル王子は大喜びで狩にお出まし。
哀れ暗殺の矢に倒れ、谷底深く姿を消したのでありました。

愛息の死にショックを受けた老王はぽっくりご逝去。
晴れてレオニス王の誕生! めでたく悪事は成就したかに見えたのですが……
塔先端

どっこい、生きてた森の中!
白い塔 肩に矢を受け、崖から落ちながらも何故かアル王子は生きていました。
“魔物の森”と呼ばれる禁断の領域の奥深く迷いこみ、不思議な『白の塔』へとたどり着き。
塔の魔女に拾われたのです。

そして、5年の月日が流れました。
魔女に弟子入りし、すくすく育った王子は、師匠から、さくっと衝撃の事実を知らされます。

「あんた、暗殺されたのよ?」
「ウソだーっ!」
「信じられないのなら確かめてくればぁ?」

売り言葉に買い言葉。5年ぶりにお城に帰ったアル(元)王子を迎えたのは……
兄上の冷たい言葉とお義姉ちゃんの懺悔の涙。
そして、幼なじみのリーナ姫が事も有ろうに兄レオニスの第二王妃としてお輿入れ(おこしいれ)直前と言う、容赦のない現実だったのです。

成り行きでお義姉ちゃんと手に手を取って逃避行、塔に連れ帰ってしまったアル王子。
ちっちゃな拳を握りしめて誓います。
「こうなったら、僕は……”悪”になる!」
こうして、心優しく、とっても素直な王子様の『ふくしゅー』が始まるのでした。

「……えっと、悪って何をするといいのかな?」

試行錯誤を繰り返し、やればやるほど何故か『いいひと』『英雄』になってしまうアル王子。

「こんなんで立派な”悪”に、なれるのかなぁ……?」

果たして、アル王子が本物の『悪人』になるか。
それとも『いい人』になっちゃうかは……全て、あなたの選択次第です。
魔女サーシャ


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